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4月3日
閲覧無料、4月2日 携帯サイト「田辺一球広島魂」コラム「夜空の向こう」より

お立ち台が連夜の賑わいを見せた。前夜の3人がひとりになっても、その存在感は抜群だった。

「みなさんは三振という頭があると思うんですが、そういう気持ちはまったくなく、向かっていくことができました」

23時が迫る時間まで応援してくれたファンに、今の素直な気持ちを打ち明けた。背番号7、堂林に一番ふさわしい舞台が、開幕5試合目で用意された。

延長十二回、最後の攻撃もワンアウト。7回5安打2失点でデビュー戦を終えた大瀬良も、ネクストバッターズサークルで待つ選手会長の梵も、九回に同点適時打されたミコライオも、みんなライトに舞い上がった打球を見上げていた。

「もう打った瞬間、行くと思いました」

ファーストを回ったところで放物線の落下点を確認した堂林も喜びを爆発させた。誰にも真似のできないヤクルト・バーネットの150キロ打ち、右打ちオーバーフェンス。引き分け寸前に飛び出した決着弾は、スタジアム周辺で咲き誇る満開の桜に負けないほどの残像を見る者に焼き付けた。

「スライダーを見逃すことができたので真っ直ぐだけを狙っていました。やっと自分でもスタートが切れたと思っています」

“勝因”はボールの見極めができていたことだった。延長十回、代打で打席に入ると、左腕の八木から四球を選んだ。ボールカウント1−2と追い込まれてからもボール球に手を出さなかった。

2対2のこう着状態が続いたおかげで2打席目が最後に回ってきた。開幕戦4打席3三振のあとナゴヤドームでは出番なし。前日の地元開幕戦は代打で死球。すべてが裏目に出続ける中でやっと巡ってきたラッキーチャンスは今後を占う上で限りなく大事な打席になっていた。

開幕第3戦から3試合続けて「スタメン・サード」で起用された田中広輔がこの試合で素晴らしい守備力を何度も披露していた。前夜は菊池が野村祐輔をバックアップしたが、今夜も田中広輔の守備力なしに大瀬良の好投はありえなかった。

「まず守れることがレギュラーの条件」そんな首脳陣の思いにピタリとはまるキャラクターの出現は新たな可能性を存分に感じさせ始めていた。

だが、周りを気にするより大事なことがある。自分の打撃スタイルを突き詰めれば、今、何が自分に求められているのか?

「三振を怖がる」からボールにバットが当たらなくなる。「三振しない」という言葉を頭から消し去り、狙い球を絞って下半身の形を崩さずにとらえることだけに集中する。技術的にはトップの位置を作る時にキャッチャー側にグリップを大きく動かさない。

ひとことで表現するならコンパクトに振る抜くこと。そうすればあとは打球が勝手に飛んでくれる。堂林の魅力は12球団を見渡してもほんのひと握りの選手しか持ち合わせていない日本人離れしたその飛距離にある。

大瀬良が投げ、田中広輔が守り、そして堂林が打つ。新たな時代の到来を予感させる4時間38分の戦いの終わりに「最高でーす!」のヒーローの雄叫び。花冷えの、広島の夜空の向こうには、どんな物語が待っているのだろうか。

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