市民球場再生計画

4月11日
新市長も広島魂−。市長選開票を待たず、午後8時過ぎNHKが松井さんに「当確」を出した。開票結果は…

松井さん16万5481票
豊田さん11万7538票
大原さん9万464票
桑田さん3万7986票

秋葉さんの分身で選挙終盤では直接、秋葉さんが街頭支援した豊田さんは「大敗」(新聞各社)に終わった。桑田さんの3万8000票を加えると女性候補ふたりで15万6000票で松井さんに迫る。大原さんは本通りでの演説にあふれんばかりの市民を集めるなど、絶大人気を誇る場面もあったが及ばず。前回市長選で12万5000票を集め、秋葉さんの次点だったがその時よりも票を落とした。この4年間で大原改革を市民に浸透できなかった、ということになる。

大原さんが次点だった07年市長選、秋葉さんは22万5982票を集め圧勝した。その結果「秋葉さんはさらに自信を深め、誰の言葉にも耳を傾けなくなった」(広島市幹部)。独裁政権の色合いをいっそう強め、4年後の今回、豊田さんを掲げての代理戦争で市民から最終的にNOを突きつけられた。

秋葉さんは松井さんと同じく基町高校OBの太田晋さん(前回に続く2度目の挑戦)、それに古葉竹識さんと争った03年市長選でも18万3078票を獲得。太田さん14万0722票、古葉さん5万7984票で両者を合わせれば19万票越え。「自民分裂」で秋葉さんが独裁色を強めるキッカケを作った。

秋葉さんは1999年の初回選挙で15万4011票を獲得。大田さんの13万2162票をかわしてその座についたことから、すべてが始まった。

この場合の「すべて」とは以下のようなことを指す。

「市民球場解体の推進と一部利益者優先の跡地整備の推進」
「新球場不正コンペと世界一ではないマツダスタジアムの完成、その後の偏った球場運営」「広大跡地、球場周辺跡地ほか遊休地の放置」
「市民の賛同を欠く、こども条例制定の動きなど、反市民的な制度への固執」
「市役所業務の停滞、および何億円もが不明になる不正経理の発覚」
「秋葉五輪招致への無駄使いとスポーツを冒とくしたことでの広島市に対するイメージダウン」「平和市長会議、参加都市の数合わせなど見てくれの平和行政に偏重した平和行政推進」
「それに伴う被曝者のかけがえのない声の埋没化」
「市議会との対立激化」
「住民投票拒否問題など、市民の声を封じる動きの徹底」
「耐震構造建物整備の遅れなど災害に強い街づくりの停滞」
「紙屋町空洞化、シャレオの経営失敗、市内の事業所激減など地元経済力の低下」
「JOC、他政令都市、周辺市町村など関係各所へ向けてのイメージダウン」
「空港、都市交通、タクシーなど交通基盤整備の混乱誘発」

秋葉さんは今回、投票日を翌日に控えた土曜昼に、原爆ドーム前の元安川に豊田さんの事務所の黄色の上着を着て現れた。乗っているのは雁木タクシー。秋葉さんが市長時代に市のあと押しでNPOとして発足した広島市の“顔”のひとつだ。

川に陸地からアクセスする際に使う階段場の雁木。広島ならではの、その名をつけた「タクシー」を10台ぐらい連ねて花見客の前に姿を見せた秋葉さん。豊田さん支援を前面に押し出していたが、その時、すでにタクシーの底には穴が開いており、秋葉さんが12年もの間、腰かけていた広島市トップの座は沈み始めていた。(…というか、この活動は完全な選挙違反、県警捜査二課も今後、そのままで済ませるわけにはいかないだろう)

秋葉さんが豊田さんとツーショットで初めて本通りに姿を見せたのはその前日の金曜日。市長の大役を終えた翌日のことだった。

実は、実はこの時点で一枚岩となった自民党、さらにさんざん秋葉市政をアシストしながら今回、寝返った公明党(市民球場解体などまさにそう)の組織票の前に、豊田さんはもう広島市には居座れない状況になっていた。

新市長に決まった松井さんは即座に「五輪NO」を宣言した。と同時に「スポーツ王国広島」の推進についても明言した。

市長選告示日前後に松井さんにお会いする機会があった。

「球場跡地にメーンのコンテンツ不在の今のイベント広場ではNO!という市民の声が多い、それに広島にはスポーツという最重要コンテンツがある」

「スポーツは単にそれに止まらない。地元を誇りに思う心を醸成し、広島の子供たちの未来を切り開く」と告げておいた。

豊田さんにもお会いした。「ビッグアーチを満員にしたい」とおっしゃるので「満員になった時、周辺の道路がどうなったかご存じですか?道路行政の停滞打破は市の最重要課題。ひとつのことをやろうと思えばカネがかかるのですよ。ビッグアーチ所長さんは私のかつての担任です。何が問題かをお聞きになりたいなら紹介します」と告げておいた。

大原さんともお話する機会があった。広島の街作りへの情熱は一番、広島魂を感じる方だった。半分解体されて「人造人間キカイダー」のような異様な姿になった市民球場の未来についても明確なビジョンをお持ちだった。しかし、40年ぶりに広島に戻り、選挙活動を重ねるうちに広島魂が覚醒した松井さんには及ばなかった。

福島原発暴走と止まるところを知らない放射性物質拡散問題。あの「ワーストマン」がそうであったように陸へ、海へ、空への「ワースト」が世界中へ拡散し続けている。

世界最初の被爆都市ヒロシマにはその支援力も強く求められている。口先だけの平和から「平和構築」のための実践力をこの街は試されている。

そのためにはまず、そこに住む人々が自分たちの街を誇りに思えることが最低条件となる。桜並木の河岸を自転車で走り、川風を感じ、緑の山や広島の空の風景を肌で感じ、そしてもう70年近くも前、同じ空間で起こった人類の悲劇にも思いを寄せる。

広島が広島らしく歩むためのエネルギーがこの12年間で脆弱化すると同時に拡散してしまい、市民にさえもその方向性が見えない街になった。サンフレッチェ広島の名にある通り、結束力を持って矢のごとく標的を的確に射る能力。新市長の手腕に期待がかかる。

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